KurashiHistory

時空で語る新世界の魅力(奇跡を感じる新世界とは)

新世界のジャズレーベル「澤野工房物語」後日談 〜仕事への「思い」〜

今回は、ジャズの世界で知らない人は居ないほどの有名人、澤野さんにインタビューをさせていただきました!

 

インタビューは全3回。

本記事は、澤野さんのお仕事への「思い」を中心に質問させていただきました。

 


f:id:kurashi_net:20230705181216j:image


Q お父さんから趣味を仕事にするなという注意があったそうですが、二足のワラジで行こうと思われたときは、どういう気持ちでそれを選ばれましたか?

 

その当時の気持ちは、

 

「なんとかなるか」

 

しかなかったです。

 


f:id:kurashi_net:20230630092000j:image

<澤野由明著『澤野工房物語』(DU BOOKS)より引用・転載>

 

「下駄屋」と「ジャズ」という組み合わせは、珍しく2000年に新聞の社会面で二足のワラジと取り上げられて、当時のHMVのジャズチャートで1位になり、ワールドビジネスサテライトでも取り上げられました。


f:id:kurashi_net:20230702083924j:image

<澤野由明著『澤野工房物語』(DU BOOKS)より引用・転載>

 

でも、その状態になるまで正直、ジャズだけではご飯を食べれなかったんです。

下駄屋でやっていけたのでご飯を食ベられたから、続けられた。

 

でも、フランスで弟が暮らすとなった時は、生活出来るかどうかという境目だったのでここが人生での大一番でした。

 

弟のためには、営業が苦手とか言ってられない。

「なんとかするしかない」という思いで東京のレコード会社「ビクターエンターテイメント(旧ビクター音楽産業)」に飛び込み営業しました。

 

「フランスにいる弟が大きな注文を取りました。

オファーしてもらえたら、弟がフランスで生きていく道ができると思います。ビクターさんが一番大きな会社なので来ました!」

 

と、ほぼ、現状をそのまま伝えました。ええカッコしてもしょうがない。

 

 

もの凄い良い条件で受けてくれたおかげでジャズで仕事できるようになりました。

 

でも、これは計算なしで、計画的に二足のワラジでやろうと思ってはなかったんです。

「なんとかなるか」でしかなかった。それやから、迷惑を嫁さんや家族にかかってんねん。

 

Q 事業が危機的な状況がいくつかあったそうですが、次どうなるかわからないはどんな気持ちだったのですか?

 

「しゃあない」って気持ちでした。

 

CDが主流になったときは、レコードのメイドインジャパンの優位性がなくなって売るもんなくなりました。

 

やっとご飯食べられるのに、弟にお金を送れるようになった時にジ・エンド。

 

でも、ずっこいかもしれないけど、下駄屋という帰るところがあったから心強かった。

 

1998年に、ジャズの六本木WAVEのヴィンテージレコードを販売させていただいていた売り場がなくなったときは、

もう新しく仕入れをするお金がなくて、購入したものを置く場所もない。

 

そこで、中古のレコード屋をしようかなと思いました。

結局は、「澤野工房」としてレーベルを作り、CDの制作と販売を開始してそれがうまく軌道に乗ったので中古のレコード屋をやることはなくなりましたが。

今でもその時の店舗の痕跡は、残っています。



f:id:kurashi_net:20230705181349j:image

 

この時、元スイングジャーナルの編集長の中山さんが助けてくれたんです。

「JAZZ 輸入ガイド’98」巻頭カラーで取り上げてくれて、こんな扱い本当に破格なのですが、話題になったおかげで少しは名前が売れるようになりました。


f:id:kurashi_net:20230702083115j:image

これで人生変わったので、本当にありがたかったです。



Q 好きなことを仕事にして、続ける上で大切なことがあれば教えてもらいたいです。

 

好きなことを続けるためには、やっぱりベースを一つ作らないといけないかな。

 

倒れそうになった時に、支えるもの。

やっぱりな、お金がないと回らない。

 

でも、好きなことをやってて、そこは負けないってところがあると強みになる。



f:id:kurashi_net:20230705181307j:image

 

僕は、基本的にセールス苦手やし、今でも行きたくない。

自信があって、「これですよ」と言うても誰も聞いてくれへん。

 

けど、回り回ってお客さんから、「ええねん」って言われたとこは強い。

 

商品に宣伝してもらうから、セールスしない商売が実現できた。

 

「ここだけで」売れるものを作れるのが理想です。


f:id:kurashi_net:20230705181241j:image

 

だから、あなたもあいつに頼んだらええねんっていうところまで行けば

自分が動かんでいい。

 

けど、動かんでいいところに行けるまで

時間がそこまで辛抱できるかどうか。

 

でも、そこまで来るのに20年かかりました。

 

youtu.be

 

<インタビューを通じて>

 

澤野さんが、好きなことを仕事していく上で、どのような気持ちで乗り越えてこられたかを教えていただききました。

 

それは、大変な時に、「根拠」や「自信」があったから乗り越えられたのではなく

なんとかやるしかないという「胆力」と「ベースとなる下駄屋」でした。

 

「めっちゃ好きやねん聞いてみる」だけで、40年以上事業を継続されてこられた澤野さんに、ここまでの成功の鍵を知った気がします。

 

澤野工房物語」には、細かい経緯や、澤野さんの弟さんやご家族についても細かく描かれています。

ビジネス書にもなると言われている一冊です。

是非、読んでみてください!

 

 

澤野工房物語 ~下駄屋が始めたジャズ・レーベル、大阪・新世界から世界へ ~』(DU
BOOKS)
www.jazz-sawano.com
https://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK183

 


澤野さんのCDを是非、聞いてみたいという方はこちらから!

www.jazz-sawano.com