新世界のファッションデザイナー 高橋さんから見た「ツムテンカク」とは (2)
なにわ小町のデザイナー高橋さんに、ツムテンカクについて熱い思いをインタビューさせていただきました。
<目次>
●「ツムテンカク」を通じて一番伝えたいこと。
● 10年前に比べて新世界が大きく変わったこととは
● 新世界の町の先輩たちに感じる器の大きさとは
Q 一番、ツムテンカクというイベントを通して伝えたいことは?
「新世界の町の面白さ」と「大阪の発信地点としての魅力」です。
これをデザインとアートの力を使ってもっと来てもらって町を歩きながら楽しんでもらえたらいいなって思いがありました。
町の活性化も含めて、色んな人に大阪の近くに来て魅力を知ってもらいたい。
そのきっかけでありたいなと。
これが根本にあった部分です。
最初に展示会を始めた時は、この新世界のキタあたりは廃れていた。
新世界は大阪の象徴となる場所なのに、発信源としてはすごくいい場所なのに活用されていない感じがありました。
デザインやアートを鑑賞するときは、
美術館とかに行かないといけないじゃないですか。
そうじゃなく、普通に街の歩きながら町の良さを知りつつ、
無料で見れて触れて、ちょっとでもデザインやアートの面白さを知ってもらえたらいいなという思いがあって、町でやろうと思いました。
通天閣は、昔の映像にもあるんですけど、磁場じゃないけど
集まってきて何かを始められる場所じゃないかな。
ツムテンカクを通じて、価値観とかを変えるきっかけになる一端を担えてたことがすごいなと。
その時、その瞬間にこの瞬間が集まってできた。
昔から町の空気感を見てて、価値観や町が確かに変わったのは感じました。
Q 価値観や時代が変わったと言う話でしたが、具体的にどのように変わったんでしょうか?
「 行ったらアカン場所が、行きたい場所になった 」
串カツ屋が増えてきて盛り上がってはいたが、
元々、シャッター街になって寂れていたところも多いし、
まだまだ、ホームレスの町とかのイメージもあった。
その時のクリエイター仲間で話していたのは、
有名な町や大きな町は、どの町でも、ブランドが立ってますが
大体、一緒。
30代、40代のデザイナー仲間は
ある程度出来上がったものへの興味は薄れてた。
そうした時に、この新世界の町の雰囲気は、凄い魅力的だった。
だから、ここでやろう。
「面白いやん!」
となりました。
イベントに関わった人たちが、本当に興味を持って色んなところに住み着いていく。
そこが拠点となって若いパワーじゃないけど、盛り上がっていった。
そのパワーがまた、広がって、そこの一角が盛り上がってい来ました。
100周年がちょうど被っていたし、近藤さん達の存在、店主の人たちが集まってもう一回町を盛り上げようやってパワーもありました。
外からのパワー、町の方達の懐が深くて受けれいてくれて一個の大きなパワーになりました。
そうやって盛り上がっていった時
今は一人一人が発信できる時代。
この町が好き
この町がいい
大阪の人たちが来て、楽しんで、みんな発信してくれました。
それを見て、パワースポットじゃないけど、
「あれ、こんな扱いじゃなかったぞ。この町は。」
まだまだ、怖い町とか、ホームレスが多いというイメージがあったのに
価値観の「ドーン」という変化を肌感覚で感じました。
Q 新世界の人たちにお世話になって懐の深さを感じるという話でしたが、どのあたりにそれを感じましたか?
どの町も、なかなか「よそ者」を受け入れないことってあると思います。
それが新世界では本当に受け入れてもらったのが嬉しかった。
それだけじゃなく、一緒になってやってくれました。
そうやって広げてもらったっていう近藤さんの存在は、本当に大きかったです。
一人で訪ねて、いきなりやらしてくださいって凄い大変じゃないですか?
点と点をこっちがまとめてやるのは膨大なんですけど。
近藤さんが口を聞いてくれて、
新世界援隊で近藤さんが店主を集めてやってくれてたんで
いいグルーヴ感というか、
応援してくれている空気感が本当に大きかった。
さらに、私自身がもっと懐の大きさを感じたのは、近藤さんについてなんですが。
私もずっと新世界にいるわけではないんですが、
活動は、SNSにアップしています。
それを見てたまに会った時に、
「今年はちょっとステージ上がったなぁ。」
「あれすごかったやん、ぜひ、ここでもやってよ」
と、言ってくれている。
第二の故郷じゃないですけど。
見守ってくれている、応援してくれている。
ずっと思ってくれているのは、
嬉しさと懐の深さを感じています。
「ほな、また返そう」と思うじゃないですか。
たまに、新世界情報ブログで書いてくれたりしたらめちゃくちゃ嬉しいです。
<インタビューを通じて>
ツムテンカクが本当に、奇跡的なイベントだという生証人に会うことができました。
本当に悪いイメージを持っていた町が、「行きたい町」になる。
そんなマイナスを、大きなプラスに変えていくだけのパワーがこの町にはあります。
でも、その原点は、昔からずっとやってこられた町の店主の皆さまが「面白い」ことを発信し続け、新しい人たちを受けれいれる「懐の深さ」にあると思いました。
新世界は、奇跡を起こすことができる可能性をたくさん秘めた町。
このことを多くの人に伝えていきたいと思いました。